「ポールの話し」  Troy

そのパーティーで妻は特に酔っ払ってしまった。こういう状態になるとよくそうなるのだが、この時も、妻はいつもの慎ましやかな性格から解放されたようだった。俺の耳に、ろれつの回らない言葉で、やって欲しいと囁いてきた。しらふの時はこんな事は決して言わないのだが、下品な言葉を使って、自分で興奮してしまったようだ。それにこのような言葉は同じく酔っ払っている俺にも同様に昂奮を与えた。俺は妻の手を握って、田舎の大別荘のメインホールの階段の方へ連れていった。

俺たちはこれからやろうとしていることを予想して、くすくす笑いながら階段を上っていった。そして、見知らぬ家の人気のない廊下で、一つ一つドアをたしかめていた。鍵のかかっていないドアで最初に見つけたのはトイレのドアで、俺はさっきまで飲んでいたワインを出すためそこに入った。その時は何にもまして最優先のことだった。ジェシカは俺の唇にキスをして、廊下をスキップしながら歩いていき、「わたしが見つけたわ」と言っていた。俺は彼女の後ろから、俺が戻った時には準備ができてるようにしてくれよと声をかけた。彼女はクスクスと笑いながら振り向き、エッチなしゃれを言っていた。

この半立ちの状態では、おしっこをするのは難しく、心を落ち着かせなければ、膀胱を空にしで安堵感を得ることはできなかった。俺は手を洗いながら、妻の細い体の事を思っていた。完璧な肉体をしている。俺は妻の絹のような白い肌に手を走らせるのが好きだった。美しい張りのある胸、小さな固い乳首、引き締まった腹、はりのある丸い尻、きちんと手入れしてある恥毛。妻の体をどれだけ愛していることだろう。何年か前まではモデルをしていて、今は自分で事業を運営しているが、それでも体形はきちんと維持していた。

トイレを出て廊下を歩いてた時も心は上の空だったのだが、突然、急ぎ足で歩いてきた男にぶつかってしまった。

その男は出し抜けにせっかちそうに言った。「どこでやってるんだ?この二階でやるってことだが」

その男の突然の登場と、いきなり問い詰めにたじろいだが、考えも無しに反射的に俺はジョークを言って、俺のパーティーだよ、そこでね、と言って、妻が入っていったドアの方を指差してしまった。男は何も言わずにそちらを見て、俺が指す方に向かっていった。俺は突進し、奴の肩をつかんだ。奴は「なんだ?」と怒った表情で俺に食って掛かったが、その後、まるでその言葉が彼の言葉ではなかったかのように微笑んだ。そいつと対面した時はじめて、その男がどんな奴だったかわかった。背が低い、40半ば位の男で、重役が着るようなスーツを着ており、身だしなみもきちんとしていた。短めに刈り上げた白髪混じりの髪だが、ハンサムな方で、このような保守的な外見からすると、さっきの言葉は明らかに場違いのように思えたほどだった。

「俺が最初だからな」と男は明らかにいらいらしながら命令した。息に含まれているアルコールの匂いが俺の鼻孔を満たした。男はわざと俺が言い返すのを待っているように俺を睨み付けた。

「その女は、焦らしごっこが好きだと聞いているよ」と口に出していったが、話した後から言葉の中身を頭が解読しているような感じだった。まるで、他人が俺の言葉を話し、自分自身はただ突っ立って聞いているような感じだった。すべてが非現実的になってきて、アルコールによる頭痛が波のように押し寄せ、グラグラしていた。そしてドアがばたんと閉まる音が頭の中にこだましていた。

俺は、頭をはっきりさせようと、頭を振ったが、かえって逆効果で、ふらふらして体を支えるために壁に手を付いてしまった。俺はドアにどしどしと歩いていって、取っ手を押して開けようとしたが、中から鍵がかかっていた。頭をドアにあて、そこに立ち止まって、酔った状態と戦うと同時にその木製の障壁の向こうでの会話に耳を傾けていた。

「・・・そうだな。当然そのつもりはないだろう。だが、ドアの向こうを歩いている時に、おまえが求めていたから入ってきてやったんだよ」と男が大きな声で嘲笑う声が聞こえた。

「いいわ、わかったわ」と妻が叫んでいた、「でもドレスを破っちゃだめよ。夫がすぐに来るんだから・・・」妻は何とかして声に威厳を持たせるようにしていたが、だんだんぐらつき、か細い声になっていき、俺には聞こえなくなってしまった。男が大きな声だが、同情するような声で彼女の胸を見せるように言った頃には、俺も少し頭がさえてきた。俺が中に入れるようにドアをガンガン叩こうとした時だった。驚いたことに妻が「・・・でも触っちゃだめよ」と言うのが聞こえた。

しばらく静けさがあり、それから普通の調子ではなく、叫ぶような調子の声が聞こえた。厚い木のドアに遮られて聞き取ることができなかった。神経を集中して聞き取ろうとしながら、妻があの男に美しい体を見せている情景が頭の中で踊っていた。

廊下から笑う声が聞こえて、俺の思考は中断されてしまった。それに、ドアに聞き耳を立てていた所を見られたかもしれないとパニックになって、トイレに駆け込んだ。呼吸が乱れて、息切れしながらトイレに座り、声の持ち主たちが通り過ぎるのを待っていた。この人たちがいなくなれば、こんな馬鹿なことをすぐに止めさせることができる。一体俺が何をしたというのだ!だが、声の持ち主たちは通り過ぎず、女性の声で「どなたかいます?」とトイレのドアをノックしてきた。

くそ、くそ、くそ!多分、かまわないでいれば、行ってしまうかもしれない。だが、またノックの音があって、取っ手を動かしてきた。俺は、哀れっぽく「ちょっとまってください」と言った。俺は水を流し、その水で顔を洗った。パニックして混乱状態になっているのが、赤くなった顔色からはっきりとばれてしまうかもしれない。

「OK。大丈夫だな」と、鏡の中の見慣れない自分の顔を見て、自分に言い聞かせた。俺は、水気を拭き取り、服を直して胸を張ってトイレのドアに向かった。

廊下に踏み出すと、トイレに入りたがっていた最初の女性が俺を押しのけて中に入り、すぐにドアをしめた。廊下では、三組の気さくな夫婦に挨拶をされた。俺はできるだけ酔っていないようにしっかりと歩るくことに集中しながら階段の方に向かった。だが、身のこなしが固かったので、かえって変な風にみえただろう。階段の下では、人々が小さな群れを成して話したり笑ったりしていた。俺が知っている人は誰もいなかった。と言うのも、このパーティーは妻への招待で来たのであり、俺を知っている者はいなかったからである。俺は通りすがりのウェイターのトレイからもう一杯飲み物をもらい、トイレに行った人たちが戻ってくるのを待ちながら、落ち着いてその飲み物をすすった。俺はあのドアを打ち破るつもりだった。俺がこんな事態を招いてしまったと、罪の気持ちが心に充満して、自分自身にぶつぶつ文句を言った。だが、その一方で怒りの心がひるんでしまうのでもあった。ジェシカが自分のからだをあの男に見せていると考えただけで、俺の股間に活動をもたらしてしまうからだった。そのことを考えると股間が膨らみ、困ったことになると解っていたが、それでも、俺の妻がためらいつつもドレスを自ら引き下げて、裸の胸を、あの色欲が充満した男に見せてあげている光景を考えてだけで、勃起がさらに固くなるのである。全部周りの人に自分が考えていることが分かってしまうのではないかと、それを隠そうと、身をよじったり屈み込んだりした。それから、階段の下の空いていた椅子に座って、膝の上に誰かが捨てたメニューの紙を置き、意図的にそれを読もうとしたのだった。

急がなければと考えるだけ、より心は迷い、より昂奮を感じた。膨らみを押し付けようとすると、逆に感覚を高めることになってしまい、俺は、躍起になって、すでに食べてしまった料理の名前をのせたメニューに興味を持とうと努めた。17回繰り返して読んだ頃だったと思う。階上から戻ってくる夫婦たちの気配に、階段を見上げたら、聞き覚えのある声が聞こえた。

「お前の言う通りだったよ。焦らされたけど、最後には陥落さ」 あの男だ。俺は立ち上がろうとしたが、彼が俺を見下ろす位置にいたので、潜在意識的に俺は立てなくなっていた。奴は、話したいことがあり、俺に一番に聞いて欲しいようだった。俺は、立ち上がって、その男を跳ね飛ばし、殴り、何かをしてやろうと思っていたが、両足が固まってしまい動くことができなかった。

男は嬉しそうにしながら囁くような声で説明した。女は夫がすぐにもやってくると嘘を付いて、最初は、本当にうまく手強い女を演じていた。俺は妻を辱めてしまったことを知り、心が沈んだ。だが、あの美しい生き物を男が征服した話を、子供のように聞いている自分にも気が付いた。「抵抗すればするほど、ますます興奮してなぁ。最後にはパンティーだけの姿に脱がしたんだ」と言う。「俺が見るだけで触りはしないという話を信じるなんて、あの女は間抜けもいいとこさ」と笑っていた。

俺がよく知っている胸の感触、乳首をつねったり揉んだりしたらどんどん固くなっていったこと、ズボンの前に手を無理矢理持っていった時、何とかして逃げようとしていたのだが、手首をがっちり握っていたので、女の手が強くペニスに押し当てられる感触を楽しんだこと。男はことの詳細を細かく思い出して話した。あたかも潜在意識的に、その男は、俺が全部知りたいと思っているのを知っているかのようだった。

女にセックスしたいと言ったとたん、拒否を止めたと言う。女は男のズボンを脱がせ、ペニスを手に持って指をその周りに絡め、プロ並みのタッチで優しくマッサージしたという。

「危うくいきそうだったぜ」と苦笑いし、女がかわいらしく彼のペニスで遊ぶ所を見ていた様子、指を女の足の間に滑り込ませ、柔らかく湿ったトンネルを指でピストンしたら、悲鳴を上げてペニス遊びを止めてしまった時の様子を話していた。

俺は、奴が一つ一つの行為を涎を流すようにして話すのを聞いていた。まるで、男は大冒険の話しをお土産に意気揚々と家に帰ってきたハンターのようだったし、俺はそれを畏敬の念を持っておとなしく座って聞いている少年のようだった。妻の誘惑話しに耳を傾けつつも、この男がその話しをする感じがからすると、俺たちは見ず知らずの人間であるにもかかわらず、生涯の親友であるかのような感じがした。

女の太股を彼の太股で押し開き、その両足の間に割り込んだ時、女のかたくなな決心は消えてしまったようだといった。俺のグラスに残っていたワインを彼は飲み、手の甲で口をぬぐった。唇をべろりと舐め、ちょっと遠くを見るような表情をした。まるで、さっき起こったことが本当のことであることを確かめるように、記憶に残っていることを思い出しているようだった。それからまた改めて熱心に話しを始めた。最初はペニスの先端がなかなかフィットしない感じだったんだが、強く押し入れると、先走りで入り口が滑らかになってきて、女のバギナの唇も、嫌々ながらもそのペニスを受け入れるために、ギリギリまで押し開かれたようになっていったという。一度、奥まで押し込んだ後は、入れたり出したりは楽になったし、女の方はキツイが濡れきっていたと言う。

女のからだの中の奥深くに射精した時、女は身を震わせ、ため息を漏らし、女のからだが緊張した時、両足で彼の背中を包み込み、彼の肩を握っていたという。それから、柔らかくなったペニスを、精液が充満した穴から引き抜いたら、女は再びため息を漏らし、足を固く閉じ、手で両足の間をふさいだと言う。あたかも、その中に発射されたものが出て行くのを止めるかのように。

俺は、俺の前で記述されて提示された出来事を理解しようと戦っていたのだが、その間、彼の言葉はだんだん遠くに聞こえるような感じがした。しかし、男が俺の腕を叩いた時の衝撃で、現実に戻された。彼は、「だから、あの女はお前だけのものだよ」と言った。

俺は二段飛びで階段を上った。俺は狂っているのか、やきもちを焼いているのか、すまないと思いいているのか。興奮しているのは確かだった。ドアを押し開くと、廊下からの光が真っ暗だった室内を照らし、ベッドの上で裸で横になっているジェシカが見えた。とても美しく、髪は乱れきっていて、体は汗の薄いつやで輝いていた。彼女は目を開け、長い間いなくなってしまっていた子犬を見つけた少女のように俺の所を見て、微笑んだ。俺の心臓は高鳴りし、ペニスが痛かった。あの男の言ったことは正しいのだ。彼女は俺のものだ。