「デス・バイ・ファッキング」 第12章 いまいましい子供たちDeath By Fucking Chapter 12: Children of the Damned by thebullet source 第1章 第2章 第3章 第4章 第5章 1/2 2/2 第6章 1/2 2/2 第7章 1/2 2/2 第8章 1/2 2/2 第9章 1/4 2/4 3/4 4/4 第10章 第11章 1/2 2/2
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これまでのあらすじ
アンドリューは派遣コンサルタントのディアドラ(ディ・ディ)と会った瞬間、激しい性欲を覚えた。それはディ・ディも同じだった。間もなく二人は身体を重ねた。ディ・ディは双子の妹のドニーに会ってほしいといい、彼はドニーともセックスをする。彼女たちには秘密があった。彼女たちの家系は双子の娘しか生まれないことと、彼女たちは種分化した新人類かもしれないということ。アンドリューも同類かもしれないという。二人は人類向上機構IAMと呼ばれる組織について話しをした。それはある富豪が作った組織で年月をかけてIQの高い人間を選択することを目的とした組織。やがてディ・ディとドニーが妊娠していることが分かる。アンドリューは会社を辞め、ディ・ディたちと結婚した。そしてIAMの本拠地を訪れ、その事業を自分たちが引き継ぐことを決意する。やがてディ・ディとドニーの出産が近づいていた。

アンドリューの話し:テレパシー

ある日の夜、それが起こった。その時、僕はディ・ディのあそこに顔を埋めて、「彼女を喋らせる」仕事をしていた。これは僕の専売特許としている仕事の一つである。ディ・ディは危うい状態(なんだかんだ言っても妊娠7カ月)にあるため、僕は、穏やかな責めをたった15分しただけで許し、その後は焦らさずにいかせてあげた。ただし、強烈な絶頂になるようにして。その時のディ・ディの叫び声を聞いたら、死人ですら目を覚ますだろう。だが、その時、彼女が目を覚まさせたのは死人ではなかった。

僕は、ディ・ディの大きく膨らんだお腹に頭を乗せて、横になっていた。妊娠した彼女は、本当に信じられないほど美しい。顔は明るく輝き、乳房は敏感に、肌は健康的に光を発散している。ドニーもディアドラも、太って醜くなったと不平を言っているが、彼女たちは本当の美を分かっていない。

本当に心が奪われるほど美しいのである。どんな男も、彼女たちを見たら、危害から守ってあげたいという感情と、めちゃくちゃになるまで犯したいという感情の二つで、心が引き裂かれるに違いない。まさに、僕はここのところ毎日、そういう感情に悩まされているのである。僕は自分の生活時間の50%を彼女たちを危害から守ることに費やし、残る50%を彼女たちをめちゃくちゃに犯すことに費やしている。それこそ、僕にとってはフェアな折り合いのつけ方だと思うからだ。

僕は、隆起したお腹に頭を乗せながら、優しくディ・ディを抱いていた。その時だった。僕は子供たちの存在を感じたのである。

別に中から蹴っていたわけではない。ディ・ディ自身、何も身体的に感じなかったはずだ。僕が子供たちの存在を感じたのは、ディ・ディのお腹の中にではなく、僕の内部でだった。多分、僕の頭の中だと思う。存在。二つの存在。僕に触れているもの、僕のことに気づいているものが二つ存在してることが、理由なしに分かったのである。トワイライト・ゾーンのテーマ曲が背後で流れていたような気がした。

ディ・ディは気づきすらしてなかった。彼女は、ついさっきのオーガズムから回復しようとしているところだった。今夜、この後ももっとオーガズムを味わわされる予定であることは、彼女も知っている。だが、そのオーガズムは、しばしお預けにしなければならないかもしれない。

僕の人生は、ディアドラと出会ってから、確かにノーマルではなくなってしまった。それにしても、これは笑ってしまうほど馬鹿げている。何かと言うと、僕は、ディ・ディのお腹の中に双子がいるのを、どういうわけか突然、分かったのである。もちろん、双子になるだろうとは予想はしていた。何と言っても前例があるのだから。たった四世代ほどだが。しかし、僕たちは、わざわざ超音波とかその他の手段を使って、子供たちの性別や数を知ろうとはしなかった。できる限り自然でいくのを望んだからである。

だが、突然、この二つの種子たちが僕の前に現れたのだった。小さな知的存在。そしてこの種子たちは僕の存在に触れている。この子たちを起こしたのは、ディ・ディなのだろうか? さっきの叫び声で? うーむ、だとしたら、命の目覚めにしては、かなりひどい起こされ方だったかもしれない。母親がオーガズムの叫び声を上げ、それを聞いて子供が目覚めるというのだから。

いや、僕の方なのか? 僕の最初の反応は、畏敬と驚きと不信と冷笑が混じり合ったものだった。冷笑の部分は、僕が気が狂っているのかもしれないという可能性から出た感情だった。いや、ただ単なる可能性じゃない。ほぼ間違いないという可能性だ。ある人の頭の中に、突然、他の存在が二つ侵入してきたとしたら、いちばん確かな説明は、その人の頭が狂ったということだろう。他の考えられる説明は、すべて、可能性の尺度上では「お前の頭は狂ってる」の隣にあるものと比べて、色あせてしまう。「頭が狂ってる」の説明だけが100%あり得るに近づき、他の説明は「ぜんぜんあり得ない」の領域に収まることだろう。

狂人が自分自身を診断するのは、医者の目には狂ったこととしか映らないというのは分かっているつもりだ。だが、狂人かも知れない僕自身の感覚としては、やっぱり僕は気が狂っているわけではないという感覚だ。客観的に自分の頭を考えてみると、僕は自分が狂っているようなことを何か考えたり、言ったり、行ったことがあるだろうか?

ちょっと考えてみよう。僕は10歳年上の女性と恋に落ちた。その後、その元の女性を完全に愛しつつも、彼女と瓜二つの双子の妹とも恋に落ちた。花形社員だった会社を辞めて自分でビジネスを始めた。ふたりの女性と結婚し、妻がふたりいる。その妻たちを説得して、シロアリしか育たない175年前からある農場の管理を引き受けさせた。85歳の老女が運営していた訳のわからない組織を引き継ぎ、僕のありったけの所持金に加えて、妻たちからも多額の資金を巻き上げ、それを投入し、崩壊寸前のおんぼろ邸宅を改修した。そしてあらゆるものを捨て、こともあろうにジョージアくんだりに引っ越してきた。こんな僕を気が狂っているなどと、どうして言えるだろう?

僕は自分の直感に耳を傾け、「自分が狂ってしまった」というシナリオを棚上げすることにした。さて、僕が発狂していないとすると、その次に最も考えられるシナリオはと言うと、僕が自分の子供の存在を感じたというシナリオである。

感じたと言ったが、はたして何を感じたのだろう? 僕は分析してみた。それは何か思考のようなものではなかった。もっと感情的なものだった。当惑、不思議さ、穏やかな驚き。そのようなものだった。

あれはテレパシーだったのだ。テレパシーという言葉であってるのだろうか? 仮にあっていなかったとしても、いまはあっているとしよう。あの二つの存在は、彼らの感情を僕に投射していたのだ。これは考えられる理論の一つにすぎないが、僕の理論はと言うと、この二つの存在、二つの種子、未来の人間は、まだ意識を持っていない。というか、少なくとも意識的な思考はしていないのだ。彼らにできることは感じることだけなのだと。これで正しいだろうか?

おそらく彼らは子宮のなかでは意識を持っている。これはほぼ確かだ。さもなければ、お腹を蹴るといったことが説明できない。だが彼らは思考することはできるだろうか? 彼らにはまだ言語はない。温かな水の中に浮いて、肉壁を通してゴボゴボした音を聞きながら、自分たちの母親の心臓の鼓動を間近に感じているだけ。ふたりはディアドラの中にいるのだ。自分の経験から言って、ディアドラの中は最高だ。だから、ふたりとも天国にいるような気分だろう。あそこに比べれば、他の場所は悪くなるばかり。その事実から目を逸らしてはいけない。

このテレパシーは一方通行なのだろうか? 僕はふたりを感じることができるが、彼らは僕を感じることができるのだろうか? 僕はすでに圧倒的な感情がこみあげてきて、感動に包まれつつあった。

僕の脳に侵入してきたこの二つの種子、これは僕の子供なのだ! 僕の心に洪水のように愛情が溢れ、目に涙がジワリときた。両腕でディ・ディのお腹を少しきつく抱きしめた。ディ・ディを傷つけるつもりはない。この子たちも。ただ、この3人を気が済むまで抱きしめていたい。それだけだった。

次の瞬間、この子たちから反応が返ってくるのを感じた! この子たちは愛されるということがどういうことか知っている。ふたりは満足そうだった。そして、ゆっくりとふたりが僕から離れていくのを感じた。ふたりは幸せな気持ちのまま眠りに戻ったのだろう。

ディアドラは僕を見ていた。「アンドリュー、どうしたの? どうして泣いてるの?」

僕はただ頭を左右に振るだけだった。このことについては、しばらく見守るだけにするのが最善だと思った。また同じことが起きると誰が分かろう。それに、ディ・ディは今はデリケートな状態だ。そんな時に、変なことを言って、僕の精神状態について心配させる理由がない。

「ただ幸福感を感じただけだよ。幸せでないはずがないじゃないか。世界で一番美しい人を妻に持ち、その妻が子供たちを産む準備に入ってるんだから。ただ、ただ幸せを感じただけなんだ」

ディ・ディは柔和な顔で微笑んだ。「アンドリュー、愛しているわ。それに『子供たち』と言ったけど、その通りだと思うの。子供が一人だけだったら、出産後、この体重を元に戻すなんてできないもの。まるでラードをバケツ一杯抱えているような感じなのよ」

僕はありきたりな言葉しか出てこなかった。

「君は天使のようだよ。君より美しい産婦はいなかっただろう。輝いて見えるよ」

ディ・ディは僕を抱き寄せた。ふたり横に並んで、一緒にいることの幸せをかみしめた。この女性は、僕が一目惚れした人だ。いや、正確には、ひと目でエッチしたくなった人だ。多分、あの頃、最初の1日か2日は愛情というものは関わっていなかっただろう。当時は、僕は感情をちゃんとコントロールできていなかった。

だけど今はディアドラは僕たちの子供を産もうとしている。この僕たちの感情は、一雌一雄関係が生まれて以来、男女が抱いてきた感情と同じものであるはずだ。種族が今後も存続し、血統が続いていくという原初的な感覚。僕たちは、自分たちの存在の第一の目的を達成しようとしているのだ。

僕も彼女を抱き寄せ、そしてキスをした。ディ・ディは僕の唇についた彼女自身の味を味わっていた。どういうわけか、そういうことをするのがふさわしいことだと思えた。それをして初めてひとつのサイクルが完結すると。僕とディ・ディ。ふたりはいつまでも一緒だ。

この状況で極度に奇妙なのは、多分、1、2時間後には、僕はドニーとまったく同じ感情をもう一度味わっていることだろうということだ。デジャビュのように。

ドニーの赤ん坊たちも、テレ・エンパシー能力、つまり遠隔共感能力を持ってるのだろうか? おっと、このような話しをするには、まったく新しい語彙体系を作らなくてはいけないようだ。わき道にそれるわけではないが、僕はひょっとするとテレ・エンパシーという用語を世界にもたらした人物として有名になるかもしれない。確かに、テレパシーについて、そういう能力があるかもしれないと言う人はいる。だが、僕は、現実に確かに存在するリアルなものを感じたのであって、そういうリアルな能力については誰も考えたことがないと思う。まあ、考えたにしても、口に出しては言っていない。ともあれ、用語について権利を主張する前に、スペリングが正しいかチェックしておくべきだろうけど。

それはともかく、ドニーの赤ん坊だ。こちらについてはどうなのだろう? やはりふたりいるのだろうか? そしてテレ・エンパシー能力を持っているのだろうか? 持っているとして、どうしてなのだろう? 持っていないとしたら、どうしてなのだろう? これも例の「次世代」の件に関係することなのだろうか? それとも、たまたまディ・ディと僕の場合に対して、二つのサイコロが7の目を出しただけ?(参考

もし、この子たちのテレ・エンパシー能力が、受精時にディ・ディと僕が互いのDNAを混ぜ合ったその混ぜ方に関係した発生上の性質だとしたら? その場合、ドニーと僕のDNAが同じ混ぜ方で混ざり合う確率はどのくらいだろうか? それは、あまり高くない。そう思う。

ひょっとすると、この能力は、必ず遺伝的に引き継がれる性質となのかもしれない。そんなこと考えたことない? (チッ! 分かる人には分かると思うけど、僕の言い方が彼女たちにだんだん似てきてしまっている) ディアドラの体内で成長している僕と彼女の遺伝子の組み合わせが何であれ、もし、その組み合わせが、僕たちの遺伝子群が組み合わさった場合の必然的結果であるとしたら? 自然の何らかの偶然とか、何らかの逸脱とか、何らかの突然変異などではなく、僕と彼女の遺伝子が混じると必然的に組み合わせが決定し、その組み合わせによってテレ・エンパシー能力が発現するとしたら?

そうなら、多くの疑問に答えが出る。確かに、解決するものよりももっと多く疑問を提起してしまうが、以前から僕の心に引っかかっていた問題のいくつかに解答を与えてくれるものだ。いちばん大きな問題は、僕は生れてくる子供たちを区別できるだろうかということだが。

ああ、確かに、これはずっと僕を悩ませてきた問題だ。でも何も特別なことはしないつもりだ。ディ・ディとドニーについても、片方にはない吹き出物を、もう片方にあるのを見つけたことは一度もない。僕の目には、ふたりとも、染み一つない肌をしてるようにしか見えないから。

彼女たちの人生で、これまで誰一人、二人を区別できた人はいなかった。彼女たちの両親ですら区別できなかった。親なのに双子の子を区別できない。これはどれだけ辛いことだろう? 

だが、僕にはディ・ディとドニーを区別できるのだ。何も考えずに、二人を区別できる。それはどうしてなのだろう? 僕たちは、エンパシー(共感)の種を共有しているのではないか? ただ、その種はあまりにも深く身体に染み込んでいるので、存在していることすら気づかずにいるのでは? これが答えではないか?

そして、その共感の種は、僕たちの子孫の体内ではさらにより多くの共感能力に育つようにセットされているのではないか? つまり、ただのエンパシー(共感)からテレ・エンパシー(遠隔共感)のレベルにまで育つようになっているのではないか? これは興味深い能力発達だ。発達と言えると仮定しての話しだが。IAMは知性を高めた人類を求めて活動をしているのかもしれないが、その頂点として遠隔共感にたどり着くことになるのかもしれない。我ながら自慢できる推論じゃないか?

もちろん、これは単に僕の頭の中で考えている理論にすぎない。おい待てよ、僕はまだディ・ディの子供とたった一回だけの経験しかしてないじゃないか。自分が正気かどうかもまだはっきりさせていないし。

ともあれ、あれが最初のテストとなるだろう。その後、ドニーが身ごもっている子供たちについても同じことを感じるか見てみることにしよう。まあ、同じことを感じたとしても、僕が正気だと分かることにはならないだろうな。むしろ、やっぱり僕は狂っていると考えるべきだろうが。

今はすべきことは一つある。ディ・ディに約束していたオーガズムを感じさせてあげることだ。その後のことは、もう少し待たなければならない。

ドニーの話し

日曜の午前、お昼近くに、破水した。その時、私はバスルームにいて、いつもの朝と同じくいろいろ身支度とかをしていたところだった。不思議なことに、いざ破水しても、不安になったり、怖くなったりはしなかった。落ち着いて階下に降り、アンドリューとディアドラに伝えた。

アンドリューは小部屋にいて、テレビでアメフト試合の試合前の盛り上がりの様子を見ていた。彼は冷蔵庫にハイネケンを用意していて、お昼時になったらビッグ・マックを買いにマクドナルドに走っていこうと考えているはず。アンドリューにはアンドリューの生活習慣がある。でも、今日は、その習慣は先延ばしにしなければいけないだろう。

「アンドリュー? 破水したわ。病院に行かなくちゃ」

彼は困惑した顔をして私を見た。「破水した? 本当に?」

「破水したのに気づかないでいる方が難しいわ」

でも彼は認めようとしない。「でも、今日は日曜なんだよ。クリーブランド・ブラウンズがボルティモア・レイブンズと戦うんだ。因縁の対決なんだ。子供たちは明日まで生まれないよ。いいね?」

「早くお医者さんに電話して。何が起きたかを伝えて、どうしたらよいか訊いて」

そう言って、レイブンズ対ブラウンズの試合を放り投げる責任をお医者さんに押し付けた。ここはジョージア州だから、お医者さんもファルコンズの応援をしたいだろう。レイブンズもブラウンズも関係ない。

ディアドラに伝えようと、キッチンに向かった。そうしたら、反対方向から来た彼女とぶつかった。そして、私たちは同時に言ったのだった。

「ねえ、何があったか分かる? 破水したの!」

私たちは抱き合って、声に出して笑った。ふたりとも涙を流していた。私はディ・ディに言った。

「アンドリューに話したら? 彼、心臓発作を起こすわよ。それにフットボールの試合も見れなくなるわ」

ディ・ディはアヒルのような格好で小部屋に入っていった。そして私も彼女の後ろアヒルのような格好でついていった。

「アンドリュー? 私たち破水したの!」

「いったいどういうことなんだ? 伝染病なのか? 本当に? 分かってるだろうけど、今日は日曜日なんだよ?」

ディ・ディは笑った。「アンドリュー? しっかりして。子供が生まれるの。私もドニーも。それも今日。分かる? あなたは今日、父親になるのよ」

アンドリューの扱い方について、私とディ・ディは違ったやり方をする。ディアドラは意のままに彼を操る。彼はほとんど問い返すことなく、彼女の求めることをする。私の方はちょっと笑いを交えて彼との関係を扱う。考えてみれば、彼は、私の求めることも、同じように何でもしてくれる。多分、私も彼を意のままに操っているのかも。

とにかく、ディ・ディの説得で、アンドリューは差し迫った出産のことをまじめに取ってくれた。アンドリューはお医者さんに電話し、お医者さんは私たちを病院に連れてくるように指示した。

車に乗り込む時、アンドリューが言った。「ちょっと変だと思わないかなあ? 君たちが同時に破水するなんて?」

私とディ・ディは顔を見合わせた。私たちはこれまでいつもどんなことも一緒だった。月経の周期も同じだったし。だから、破水も一緒になっておかしいはずはない。そういうふうに私たちは考えていたけど、アンドリューは違ったふうに感じたようだ。

「ひょっとして、ふた組の子供たちは、みんな一緒に生まれたいと思ったのかも。そう思わないかい?」

私は笑った。「アハハ…。アンドリュー? あなた、これまでの人生でいくつか変な理論を立ててきたけど、今のはいちばん変な理論だわ」

彼はおつに澄ました顔をしていた。「そのうち分かるから。そのうち…」

家から病院までは1時間ほどだった。病院は、サバンナ市のメモリアル・ヘルス病院。受付を済まし、入ったけれど、受付の人の顔には少なからず狼狽の表情が浮かんでいたと思う。多分、同時に、双子2組の出産は慣れていないからだったろうとは思う。すべての書類を揃えた後、私たちは分娩準備室へ直行し、心の準備をした。

私たちは、何としてでも同じ分娩室で出産したかった。それについては、かなり普通じゃないことではあったけど、前もって医師と相談し、手配を済ませていた。そもそも、ディ・ディと私が同時に出産するとは私たちも知らなかったけれど、彼女も私も、出産時にはアンドリューも一緒にいてほしいとは思っていた。

よく、夫が待合室にひとり、煙草を吸い、みじめな様子で出産を待っていたりすることがあるけど、私はそういうことをさせるタイプではない。まあ、今は病院では喫煙は許さないし、そもそもアンドリューは喫煙しない。それに彼にはみじめな様子になってほしいとも思わない。出産の時には彼に一緒にいてもらいたい。ディアドラも同じ気持ち。

私もディ・ディも自然分娩を選んだ。三人そろって、講習会に出席した。本を読んだりビデオを見たりして学んだ。私たちはぜんぜん心配していなかった。それに担当のお医者さんも、私たちの妊娠の経過について、まったく問題ないと満足していた。

私たちの出産の経過も、他の母親たちとまったく同じだった。子宮の収縮の頻度が増えるのに合わせて、拡張が進んでいく。アンドリューは時計を見ていて、大切なアメフトの試合時間がどれだけ過ぎていってるか計算していた。

時間が進むにつれて、ちょっとだけ辛くなってきた。こういう時には少し辛い目に会うほうがよいと思う。苦しい時間があることにより、この出産という経験がより鮮明に現実味を帯びたものとして感じることができるから。あまり辛すぎると、あまりにも現実的すぎてしまうだろうけど。ディ・ディと私は同じ分娩室にいて、並置された二つのベッドにいた。

アンドリューの意見によると、私たちはできるだけ長く直立した姿勢でいるべきだとのこと。そうしていると重力によって出産の過程が楽になると言うのである。彼はそのことを何かのSFの本で読んだのだと思う。なので、本当のことなのだろうと思う。

そして、とうとう、子供たちが外に出始めた。アンドリューは私とディ・ディの間にいて、私たちの手を握っていた。最初に産んだのはディ・ディだった。女の子だ! そのすぐ後に私が生んだ。この子も女の子! そして、あまり時間を経ずして、ディ・ディがもう一人産んだ。女の子! そして、私も再び! この子も女の子!

赤ちゃんが出てくるたびに、お医者さんは、私たちの素肌の胸にその子を乗せてくれた。私たちがその子に話しかけたり、その子を優しく撫でたり、温めたりできるようにである。そうして赤ちゃんと対面させてくれた後、その小さな体を抱えて連れて行き、身体を洗い、乾かし、重さを量り、そして毛布に包んでくれた。アンドリューは椅子に座って待っていた。

どの赤ちゃんも、看護婦さんに身体を洗われながら、元気よく泣いていた。ディアドラも私もまだ疲れ切っていたので、私たちのかわりに看護婦さんが、私たちのそれぞれの最初の子をアンドリューのところに連れて行き、彼の左右の腕に抱かせた。

子供たちは看護婦さんに抱かれている間、ずっと泣き叫んでいた。でも、アンドリューの腕の中に収まると、ピタリと泣きやむのだった。看護婦さんは驚いていた。

私たちの愛する大きな男が小さな、小さな赤ちゃんを左右に抱いている。小さな子たちは、彼の愛のこもった腕に抱かれて完全に満足しているように見えた。この子たち母親に似たに違いない。やがて死ぬ時が来たら、私は彼の腕の中で死にたい。

アンドリューは赤ちゃんに何も話しかけなかった。ただ抱いて、赤ん坊の目を覗きこんでいるだけ。もっとも、私の理解では、新生児は出産後しばらくは目で物を追うことはできないはず。それはともかく、私たち赤ちゃんは、彼といてとても居心地がよさそうに見えた。

私たちの二人目の赤ちゃんたちが看護婦さんに身体を洗われている間、アンドリューが私とディ・ディのもとにそれぞれの子を連れてきた。ふたりとも、まるで同じ鞘に収まった豆のようにそっくりだった。どっちの赤ちゃんがどっちだか、私もはっきりしなかったのは確か。

でもアンドリュー自信を持った様子で、一方の赤ちゃんを私に渡しながら言った。

「この子はエディ」

そして、もう一方の赤ちゃんをディアドラに手渡しながら言った。

「この子はエマ」

彼にはちゃんと区別がつくらしい。私は彼を信じた。私と彼で、赤ん坊の名前はエディとエッダにすると合意していた。ディアドラとはエマとエレという名前に決めていた。エレという名前は、アンドリューが好きな、あるファッションモデルと関係がある名前だと思う。

続いて看護婦さんがふた組目の赤ちゃんをアンドリューに渡した。やっぱり、この子たちも彼に抱かれるとすぐにおとなしくなり、とても満足そうな様子になった。

看護婦さんは当惑した様子で頭を振っていた。赤ちゃん4人、全部そっくりの顔。それがふたりの、これまたそっくりな母親から生まれるなんて。あの看護婦さんにとって、私たちの出産はこの上なく珍しいものだったのだろう。

アンドリューが私たちの間にやってきた。最初、ディアドラの方に顔を近づけ、キスをした。それから私に顔を近づけ、キスをした。彼はそのキスに、伝えたいすべてを注ぎ込んだ。とても疲れていたけど、彼の伝えたいことは魂の奥でしっかりと感じることができた。でも、今はただ眠りたい。それだけ。

ディ・ディの話し

アンドリューと子供たちの間に何か不思議なことが起きている。子供たちは、アンドリューがそばにいると、絶対に決して泣かないのだ。彼はどんな魔法の呪文を使っているんだろう? 子供たちは彼が大好き。なのにアンドリューは、子供のそばにいるとき、ほとんど子供に話しかけない。私には理解できない心の通じ合いがあるのだ。私とドニーの考えでは、アンドリューが何も話さない時が、そういう出来事が起きる主要なきっかけのようだ、ということになっている。

子供たちは、私やドニーといるときは、ごく普通の赤ちゃんのように振舞ってる。可哀想に、アンドリューは、毎晩、夜中、子供たちの授乳の時間になると、起きて子供たちを抱えてこなくてはならない。でも、私たちの赤ちゃんが4人とも同じ授乳のスケジュール・パターンになっているのは、とても助かる。でも、そうなる確率は一体どのくらいなのだろう?

ともあれ、アンドリューが子供たちを私たちのところに連れてくる。私もドニーも、一人の赤ちゃんに乳房をひとつあてがい、授乳する。4人そろって、いっせいに、もう本当に必死な様子でおっぱいを吸い始める。げっぷをさせるのはアンドリューの仕事。赤ちゃんたちはお腹いっぱいおっぱいを飲んだら、後はアンドリューがベッドに連れ帰る。

4人ともとても可愛くて、それに4人ともそっくり。だから、ドニーも私も自分がどの赤ちゃんに授乳しているのかさっぱり分からない。アンドリューは、私たちがちゃんと自分の赤ちゃんに授乳してると請け合っているけど、私たちは彼の言葉を信じるしかない。

でも、本当のところは問題ではない。ずいぶん前に、私たちは、私とドニーの二人で、グループ・マザーになろうと決めていた。つまり、私がエマとエレを生みの母になったかも知れないし、ドニーがエディとエッダの生みの母になったかもしれないと。「かもしれない」の話しだけど。実際、私とドニーのどっちがどの子を産んだかというのは分からなくなってる。それに、そもそもそれはどうでもよくなっている。私たちは、4人のどの子についても母親であるという意識を持っているから。

だが、アンドリューは自分はちゃんと分かってると言い張っている。4人の区別ができると言っている。どの子も抱き上げて、その子の名前を自信を持って呼んでいる。それは正しいの? 誰にも分らない。ひょっとするとアンドリューは本当に子供たちを区別できてるのかもしれない。彼は、私もドニーも想像がつかない才能を持っているのかもしれない。

でも、正確にどんなことが起きてるのか知ったら、もっとよいと思う。この生後5か月の赤ちゃんたちは、世界が父親を中心にして回ってると思ってる。母親はただの食糧源にしかなっていない。

結局、私はアンドリューに真実を話させることにした。彼は私たちに話していないことがあるはず。それが何かは分からないし、どうしてなのかも分からない。ともかく、知りたい。

朝の授乳の後、彼に問いただしてみた。赤ちゃんたちは、ほぼ2時間以上、起きっぱなしでいた。なので、アンドリューは子供たちをベビーベッドに寝かせ、それぞれの額に額に触れると、すぐに4人とも眠ってしまった。

アンドリューを呼んで、ベッドに座らせた。私もドニーも、まだベッドの中。24時間、昼も夜も間断的に授乳をするのは、ちょっと疲れてしまうから。もちろんアンドリューがいつもそばにいてくれたけど、彼は全然疲れているようには見えなかった。

「アンドリュー? そろそろ私たちに話してくれてもいいんじゃない? 知ってると思うけど、私たちあなたの妻なのよ?」

アンドリューは驚いた顔をした。あの表情は知っている。本当はぜんぜん驚いていない時に見せる、「ああ、驚いた」という表情だ。

「話すって、何を? ディ・ディ?」

私はちょっとイライラしていた。疲れていたから。

「アンドリュー、また同じことを言わせないで。あなたは、私が質問する前から、私が考えていることを正確に分かっていたでしょう? これまで、いつも。なのに、私がそのことを言うと全然知らなかったみたいなふりをする。私たちあなたをいじめなくちゃいけない? それとも、正直に白状する?」

彼は話したくないようだった。私には分かる。まるで、話しても、私もドニーもその答えが気に食わないだろうと思っているみたいに。でも彼は私たちに隠し事ができるわけでもない。

「ディアドラ? 君は僕のことを狂ってると思うかい?」

ふーん、そういうやり方で切り出したいの? いいわ、付き合いましょう。

「いいえ、アンドリュー。あなたが狂ってるなんて思わないわ。そう言えば気分が楽になる?」

彼は困ったふうに言葉を発した。「あの子たちと僕は互いに理解できるんだ」

「それは知ってるわ。分からないのは、どうやってなのか、そして、なぜかということ。私もドニーも、あの子たちよりずっとあなたと長く一緒にいるし、私たちは36歳だし、博士号取得候補でもあるの。なのに、あなたを理解してない。どうして5か月の赤ちゃんが4人とも、あなたと理解しあえるというの?」

「子供たちは分子レベルで僕を理解していると思っているんだ。ともかく、そんな感じのことだ。僕たちは、あの子たちが生まれる2か月前から、接触してきたんだよ。いや、真面目に言っている。ディ・ディ? 僕が子供たちと初めて接触した時のことを、君は覚えているはずだよ。あの時、僕は君とちょっと口唇関係の楽しい行為に没頭していた。あの時、僕はいわば君に「声を出させよう」としていただけなんだけど、後になって、君は、僕が泣きだしたので、僕がどうかしていたと思ったよね。うん、確かに僕はどうかしていた。あの時、まだ君の子宮の中にいたエレとエマに僕は接触したんだ。まさにあの時、ディーとエッダが目覚めた時でもあったんだ。そして、あれ以来ずっと僕は子供たちと一緒にいる…」

「…これは、例の僕の『化学的誘惑子』理論を拡張すれば説明できると思ってる。この理論は、君とドニーと僕がどうしてこんなに、論理や理性を超えて惹かれあってしまうのかを説明するものだった。そして、僕たち3人の遺伝的構成要素が組み合わさって、あの子たちと僕が生物的に分かりあう状態を獲得したのじゃないかと思うんだ。何と言うか、直接、心で触れ合えるような能力を獲得したのではないかと。僕っていったい何者なんだと思うよ。ユリ・ゲラー? ジョン・エドワード?(参考) 何が起きてるのかは分かるんだが、どうして、そんなことが起きるのか、その理屈が分からない」

「で、どんなことが起きてるの?」 とドニーが訊いた。

「子供たちの感情を感じることができるんだ。僕はこれをテレ・エンパシーと呼んでいる。僕と子供たちは、互いにある種の共感状態にあるんだ。僕が子供たちに心を送り込もうとすると、子供たちはちゃんと感じ取ってくれる。多分、僕が送る前にすでに感じているのかもしれない。どうなってるのか僕にも分かるはずがないよ。まだ、『ママ』という言葉すら言えてない5か月の赤ちゃんと話しをしてることになるんだ。まだ、子供たちとは共感投射について議論はできていないけどね」

ドニーも私も唖然としていた。こんな内容の主張なわけだから、多分、私たちはちょっと懐疑的になっていたと思う。確かに、アンドリューと子供たちが共感し合ってることは、私もドニーも知っていた。まあ、他にどんな説明をされても、彼の説明に対する印象と同じようなものだったろう。でも、子供たちがお腹の中にいた時から、アンドリューは知っていたって? どういうこと? お願い。

「で、どうやって子供たちを泣きやませているの?」 ドニーが訊いた。

「愛情とか安らぎとかの気持ちを送り込むだけだよ。お前たちが欲しいものはちゃんと分かってるよ、すぐにあげるからと伝えるんだ。子供たちが泣くのは、たいてい、母親に何か欲しいものがあるのを知ってほしいからだと、僕は理解している。普通、食べ物だけど、それを手に入れるまで子供たちは泣き続けるんだ。でも、あの子たちは、僕が行くと、欲しいものがすぐにやってくると分かって、だから泣く必要がないと分かるようなんだ。もちろん、これは僕の理論にすぎないけど」

ドニーも私も口を動かしていたが、何も言葉が出てこなかった。やっとのこと、私は言葉を吐いた。「なんてこと! どうりで、あなたが一緒だとおとなしくなるはずだわ。でも、本当にどうやって? どんな仕組みになってるの?」

アンドリューは、7か月もこれを考えてきていた。彼のことだから、理論を立てているはず。でも、彼がこんなに長く黙っていられたなんて、アンドリューの性格を考えると、そっちの方が信じられない。

「ずっと黙っていてすまない。でも、打ち明ける前に、僕と子供たちの間で何かが起きてることを君たちにしっかり認識してほしかったんだ。いきなりしゃべって、誰だかわからないけど白い服を着た男たちにどこかへ連れて行かれるのは、ごめんだからね…」

「…僕はテレパシーとかそういうものに関する話しを読みまくった。そのほとんどすべてが、人間というものは使える脳の力のうちほんのわずかしか使っていないという説明だ。進化の見地から考えた場合、その見解はあり得ない主張といえる。そもそも、必要のない能力なら、進化で得られることなどないんじゃないかと。もうひとつ、そういう話しでの主張は、テレパシーであれ、他の特別な能力が何であれ、かつて人間はそれを使っていたという主張だ。以前は使っていたが、のちに使わなくなったという主張。能力自体は残っているが、休止状態で眠っていると…」

「…ダメだダメ! 乱暴な言葉を言ってすまない。でもね、僕はそんな説明はダメだと思ってるんだ。人間は使える脳の力の数パーセントしか使っていないと言う人は、科学が脳のことをまだ分かっていないという現実に頼りすぎてるんだよ。単に、脳のどの部分が何に使われているか分からないからと言って、それは、そこが使われていないということにはならないからね。それに加えて、現代の科学は、脳の使用について分からない部分をかなり解明してきたと僕は確信している。1950年代には、何に使われているか分からない余分な能力だったものが、2004年には何か重要で、明確な能力であると分かったと、連中が言ってることは、それだけだと思うんだ…」

「…で、だとすると、僕と子供たちの位置づけはどうなるか? ということなんだけど、『前適応』という用語を聞いたことがないかな? これは、最初はある働きをするように進化したんだけど、それが後にまったく異なった働きのために使われるようになったものを指す用語だ。古典的な例が、鳥の羽毛。鳥の羽毛はどうやって進化してきたのだろうか? 最初の鳥たち、あるいは、疑似鳥でもいいけど、それが空を飛んでいた時には、もうすでに羽毛を持っていた。進化は、前もって計画的に進むものではない。何かの目的のために計画的に進化するなんてありえない。とすると、鳥たちは、飛べるようになる前に、どうやって飛ぶための羽毛を進化させたのだろう?…」

「…答えは明らかで、羽毛は飛行のために進化したのではなかったということ。羽毛は、身体の保護、多分、体の保温のために進化したということ。そういう羽毛を進化させた生き物たち、もちろん、それは恐竜の一部だろうけど、その生き物たちの一部が、たまたま、空を飛ぶようなレベルまで生き延びた。その時、羽毛があった方が飛行に便利だったというわけ。でも、羽毛自体は、まったく別の目的のために存在していたんだ…」

「…さて、今度は人間について話すことにしよう…」

「…哺乳類の中で、人間だけが、飲み込むことと呼吸を同時にできない種なんだ。ふたりとも知っていた? ただ、それには例外がある。その例外は、二人とも、毎日、だいたい4時間ごとに見てるんだよ。そう、赤ちゃんは別なんだ。赤ちゃんは飲むことと呼吸を同時にできる。だが、2歳を過ぎると、人間の咽頭は下降して、突然、飲むことと呼吸を同時にできなくなるんだ。片方だけならもちろんできるけど、同時は無理になる…」

「…そこで問題なのは、そういうことが、どんな適応になっているのかという点だ。理屈が分からないんだ。飲むのと息をするのを両方できた方が適応度が高いように思われるのに、片方しかできないふうに弱めてしまうのは、一種、進化に反しているのではないかと…」

「で、理由は何だと思う? 咽頭が喉の奥へと下がっているので、人間は他の動物が出せない音も出せるようになっている。複雑な音を出せるようになり、それが人間の言語に発達したのだと。他の動物は限られた範囲の音しか出せないが、人間の場合は出せる音は際限がないと…」

「…ということは、咽頭が降下したのは、人間言語を促進させるためだと。でも、それで正しいかというと、多分、これは間違い。別に言語を使えるようになるために咽頭が降下したわけではない。というのも、言語が発達する何万年も前に咽頭は降下しているから。多分ね。何回も『多分』という言葉を使ってすまないけど、ここの部分は根拠がぐらついているところだから仕方がないんだ…」

「…ともかく、僕の知るところによれば、古生物学者たちは、咽頭がどうして降下したかについて、想像することしかできない。だけど、ともかく、咽頭は降下した。そのおかげで、後々の人類は、そのことを言語のために利用することができるようになったということ。そもそもの、咽頭降下の進化上の働きは何であれ、その後、それを別目的に使うようになったということなんだ…」

「…もう、ここまで言えば、二人とも、僕がこの話で何を言いたいか分かったと思う。本当にテレ・エンパシー能力を使ってるとしてだけど、そのテレ・エンパシーを使う能力は『前適応』ではないのか。人間の脳はほとんと無限にいろいろな働きができるのだが、その脳が、まったく別の目的のために発達した脳の部分を使って、別の働きを発達させたのだと。多分、脳の中のいくつかの部分を組み合わせて、このまったく新しい働きを作りだしたのではないかと…」

「いったいどうやって? そんなの僕に分かるわけないよ、ディ・ディ。理論を聞きたいと言ったから、僕の理論を話してるだけだ。ともかく、この情報を世間一般の知識にするのはやめておいた方がいいと思ってる。さもないと、CIAだか国家安全保障局NSAだかホワイトハウスが僕たちのところに押しかけてきて、子供のひとりを取り上げ脳を解剖したり(さらに、僕の脳を解剖したり)、この能力を国内、国外の敵に対する兵器として使う方法が分かるまで、僕らのうち残った者を独房に監禁するかもしれないから…」

「…もしこの情報を明るみに出すとして、それは僕たちがそうすると決めた時としなければならない。もし、この能力がちゃんと遺伝するとしたら、つまり、僕たちの子孫の全員がこの能力を持つとしたら、そのことが既成事実となるまで、待つべきだと思うんだ。僕たちの同類があまりに多くいるので、もはや、抵抗することができないとなるまで。そうなったら、他の人は僕たちを止めることはできないし、むしろ、僕たちを必要とするはず…」

「…話しは以上だけど、これは理論としてどうだろう?」

ドニーと私は、驚いて互いに顔を見合わせていた。アンドリューにはいつも驚かされる。いったいどうして私たちはこの人物とつながることになったのだろう? 彼が『次の世代』の人間でないとしたら、他には誰もいない。アンドリューの理論には、いつもそうだけど、帰結が含まれていたし、その帰結に対する反応も含まれていた。私たちの愛する男は、いつも、数ステップ先を考えている。

ドニーが質問した。

「この能力がテレパシーでないと言い切れるの? 本当に心を読んでると言えるの? 子供たちはまだ言語を獲得してないわ。仮にテレパシーだったら、子供たちが言葉で思考をするようになれば、子供たちとは言葉の交信になって、心を読みあうことはなくなるんじゃない? そうなるって、今のうちから、どうしてわかるの?」

アンドリューはただ頭を振った。

「ああ、そのことは僕も悩んだところだよ。この子たちは大きくなっても僕の心を読めるのだろうかって。でも、一歳の子供が文を二つ伝えるごとに『ファック』という言葉を使うのをどう思う? 正直、僕は、自分が、口に出してしゃべってるよりも、ずっと多くこの言葉を考えてると知って恥ずかしく感じてるところなんだ」

ドニーも私も、それを聞いて大笑いしてしまった。私たちの子供は、夫のせいで堕落してしまう! でも、子供たちが世界中のどの人の心も読めるとしたら、読んでほしいと私たちが思うのは彼の心だわ。多分、そうなったら、子供たちにはアンドリューのことが理解できるだろうから。

アンドリューの話:子供たち

エマとエラ、エディとエッダ。双子がふた組。四つ子と言っても通る。誰も4人を区別できない。この子たちの母親ですら区別できないのだ。だが、僕は違う。僕は4人を問題なく区別できる。

僕と、この4人の小さな天使たち。僕たちの間で何かが起きてる。この子たちが子宮の中にいた時から僕はそれに気づいていた。この子たちは僕を感ずることができるのだ。彼らは、まるで本を読むように僕の心を読み、僕の方も、どういうわけか彼らが僕に反応するのを感じることができる。まさしくテレ・エンパシーだ。

いまやその子供たちも2歳。ありえないほど早熟だ。思わず抱きしめたいと思うけれど、その次の瞬間、その細い首をへし折りたくなる。そんな子供たち。しかも、このちびっ子どもはこっちの心が読めるときている。実に厄介でしょうがない。

先日のことだった。僕はディ・ディと子供たちと一緒にドライブに出た。ドニーだけは仕事があって家にとどまった。

子供たち4人とも後部座席のベビーシートに縛り付け出かけたわけである。この車は怪物みたいな大型車で、大家族に対処するためやむなく買ったものだった。

道路を走りながら、僕は自分のことだけを考えていた。誓ってもいいが、一切、考えてることを言葉に出したりはしていなかった。

その時である。一台の車が追い越し車線から僕たちの車を追い抜き、その後、僕の車の前に来て、急にスピードを落としたのだった。

僕はクルーズコントロールを使って走るのが好きだ。気が楽だから。だから、他の運転手の無茶な運転のせいでブレーキを踏まざるを得なくさせられるのが何より頭にくる。でも、決して言葉に出していったわけではない。誓ってもいい。腹は立てていたけど、口には出していなかった。

それからちょっと走ったところで信号があり、そこで止まった。例の無作法な運転者は左折するらしく、僕たちの車と横並びに止まった。

ちょうどその時だった。エマが窓を開けて、向こうの車に顔を向け、叫んだのである。

「このクソ野郎!!」

例の無作法氏はギョッとした顔をしていた。ブロンドの髪のえくぼが可愛い天使のような子にとんでもない罵声を浴びせられたのだから当然だ。僕は信号が変わるとすぐに、素早く車を走らせ、その場から逃げた。

エラが言った。「ママ? クソ野郎ってどういう意味?」

ディ・ディは僕のことを睨みつけていた。

「パパの前に車を割り込ませてくる人なら誰でも」

もちろん、そうなったらエディも黙っていられない。

「ママ? どうしてスカートを捲って、パパにおまんこを見せてあげないの?」

ディ・ディは顔を真っ赤にさせた。ほんと、ディ・ディに殴られるだろうと思った。本当に、僕は一言も喋っていないのに。僕は必死になって心に念じた。お願いだよ、子供たち、全部忘れてくれ。静かになってくれ。その話題から離れてくれ、と。

エディが訊いた。「ママ? なむさん、なむさんって何?」

僕は手を宙にあげ、降参のポーズを取り、すまないと訴える顔をディ・ディに向けた。もういいだろ。僕は思ったことを思ってるだけなんだ。実際に口に出して言わないうちは、どんなことを思っても問題ないと、それが僕の立場なんだ。ただ、もちろん、そうだよ。僕には頭に浮かんだことを漏れなく繰り返すのが大好きな4人の可愛い天使がいるのは知ってるけど…。

エマは問題を厄介にすることに決めたらしい。「ママ? ママもエッチな気分になってるの?」

いつものことだが、イラがすぐに訊き返した。「エッチな気分って何?」

ディ・ディはとうとう我慢できず、どっと笑い出した。

だが、何と! 今度はあっちの方がちょっと居心地が悪くなっていきそうだ。ディ・ディがゆっくりと少しずつスカートを捲り上げ出したからだ。さらに脚を広げてくる。

とうとう、全部、丸見えになってしまった。ああ、何と! ディ・ディはパンティを履いていなかったではないか! 車が道から外れないようにと注意はしていたが、簡単なことではなかった。

僕の大好きな可愛いお喋り屋のエマが訊いた。「ママ? 良いケツしてるってどんな意味?」

エディも加わってきた。「おまんこって何? ママ?」

エディもだ。「パパがまた勃起してるって」

僕は車を道脇に寄せ、止めた。後部座席を振り返り、僕を狂わせる、この4匹の愛らしいいたずら者たちを睨みつけた。「パパの頭から出ていってくれないかな!」

僕は、どうにかして僕の頭の中から子供たちを遠ざける方法を見つけなければいけない。さもないと、ほんとに何も考えられなくなる。なんて恐ろしいことだ。

エマが言った。「ママ? ママがいないときしか、パパは遊び相手になってくれないんだよ。ママが一緒にいると、パパはいつもママとヤルことしか考えないから」

僕は真顔で言った。「エマ? 君はいくつになったのかな?」

「二歳!」

「君は、三歳まで生き延びたいと思ってるかな?」

「うん」

「だったら、その減らず口は閉じるんだ!」

イラが言った。「あ! パパが汚い言葉を使ったよ! いけないんだ!」

神様、僕を助けてください。どうかお願いです。お助けを!

ドニーの話し

私はアンドリューと子供たちと一緒に過ごす時間が大好き。子供たちがそばにいる時は、アンドリューはあまりしゃべらない。彼の代わりに、子供たちが彼の言葉をしゃべってくれる。これがとても笑える。アンドリューは、もうあきらめたみたい。

子供たちは18カ月ごろにちゃんとした話しをし始めたが、最初から、完全な文で話しをしていた。この子たちが自分たちが話していることをどこまで理解しているのか分からないけど、ともかく、たくさん喋っている。

ある日曜日の午後、私たちは小部屋でくつろいでいた。アンドリューはいつもの通り、ビッグマックとビールを手にアメフト試合を見ていた。彼は、ビッグマックに関連して彼が欠点を持っていることは自覚している。あれを食べるべきではないと知っている。だけど、それは伝統だからと。彼は自分の伝統を重視しているのだ。

子供たちは床に座って、レゴで遊んでいた。4人ともとても可愛い。ブロンドの髪、青みがかった緑の瞳、それにえくぼ。声はとても愛らしい。その声でアンドリューの考えてる言葉が出てくる。ほとんど卒倒しそうな言葉が。

心配しているのは、エマがドリスの前で4文字言葉を使ってしまい、ドリスを唖然とさせたことがあるのじゃないかということ。子供たちの中でエマが一番のトラブルメーカー。エマは何を言ってよくって、何は言ってはいけないか、ちゃんと分かっているはず。エマは、私たちの反応を見るのが好きなのだ。私が4人の中からエマを選び出すことができるのは、エマがそういうことを言う時だけ。エマの顔かたちでは分からない。どんなことを言うかでしか分からない。

アンドリューはとうとうファルコンズの試合を見始めた。それまでブラウンズにご執心だったのだが、それは自己崩壊に瀕していた。

というわけで、小部屋の中、アンドリューはテレビで試合を見ていて、子供たちは遊んでいて、私はみんなのことを見ていた。

エマがレゴのピースを二つくっつけようとしていた時、突然、叫んだ。

「マイケル! その馬鹿ボールを投げろよ!」

すると別の子が言った。「どうして、マイケルは馬鹿ボールを投げなくちゃいけないの?」

また別の子が答えた。「体当たりされたら、怪我するかもしれないから。そうなったら、ファルコンズは、馬鹿ブラウンズと同じレベルになってしまうから」

アンドリューは一度も口を開かなかった。じっとテレビ画面を見たまま。まるで私たちがそばにいるのに気づいていないように振舞ってる。

ひとりが私に訊いた。「ママ? ハーフタイムになったら何をするつもり?」

私はその子を見つめた。何と答えるべきかしら?

「ママは、パパがハーフタイムにしたいと思ってることなら何でもするつもりよ。いつもの通り」

エマが自信を持って言った。「ママとパパは一緒にヤルつもりなの」

とうとうアンドリューが口を開いた。

「エマ? 君はママに恥ずかしい思いをさせているよ。そのことは前にも言ったはず。パたちに気を使ってくれないかな? ハーフタイムの時はパパとドニーママの邪魔をしないでくれないか。その代わり、ディ・ディママのところに行って邪魔をするといいよ。ディ・ディママは4人のいたずら娘がやってきて、30分間、とことん邪魔をしまくるのをとっても嬉しいと思ってくれるはずだよ。その30分の後だったら、戻ってきて、パパの邪魔をしてもいいから」

エマが答えた。「でもパパ? 私たちパパの邪魔はしないわ。パパは、私たちのこと面白いと思っているもの」

「でもハーフタイムの時、ドニーママとパパだけにしてくれないと、パパを邪魔してることになるんだよ。だからお願いだよ」

エマはにっこりほほ笑んだ。「心配しないで、パパ。私たちはディ・ディママのことをお世話するわ。その間、パパはドニーママのお世話ができでしょ」

エマは、本当にマセたいたずら娘。この子が10代の娘になって、デートを始める頃が待ち遠しいわ。その時は、思いっきり恥ずかしい思いをさせてあげるから! その時が来るまでは、私は苦笑いして、我慢するしかなさそうね。

ようやく、ハーフタイムになった。試合は接戦だったので、30分しか余裕がないのが分かっていた。アンドリューは、接戦の場合、セコンド・ハーフを見そびれるのをとても嫌がるのである。

子供たちはキッチンに入って行った。キッチンではディ・ディがだらだらと夕食を作っているところだった。キッチンには、ドリスが気分転換のために彼女の洞窟のような居場所から出てきていて、キッチンテーブルのところに座って、時々、ディアドラの料理のやり方に批評を加えていたところだった。

だが、子供たちがキッチンに走って入ってくると、とたんにドリスはいそいそと退却した。多分、ディ・ディはほっとしたことだろう。ドリスは、私たちが何かをするとき、それが間違ってると思うと、ちょっとだけ口やかましくなるのである。

アンドリューは私の手を握り、そしてふたりはキスをした。キスをするといつも最初の時のように感じる。いや、正確には最初の時ではない。アンドリューが私がドニーであるのを知った後の最初の時のように感じる。彼はキスをするとき、キスにとても愛情をこめてする。子供たちは私たちのエネルギーをものすごく吸い取ってしまうけれど、それでも愛し合うためのエネルギーについては、いつも残っているようだ。

子供たちはアンドリューを少しも困らせない。何と言うか、子供たちは彼にとってはストレスになっていないということ。彼は、自分のオフィスでプログラムを組みながら、そこで子供たちを遊ばせている。子供たちはほとんど彼が目覚める瞬間から、彼に付きまとって、彼女たちが眠るまでそれが続く。いつもアンドリューのそばにいたい様子なのだ。そしてアンドリューの方も子供たちがそばにいるのを楽しんでいる。

そのおかげで、ディ・ディも私もかなり生活が楽になっている。双子を抱えた母親の大半は、ぼろぼろに疲れ果ててしまうものだ。私たちは実質4つ子を抱えているようなものだが、それでもかなり落ち着いた生活だし、比較的、充分に休息を取ることができている。でも、思うに、これはアンドリューと子供たちの陰謀なのではないかしら。私たちを休ませておけば、アンドリューは、元気な私たちを相手にかなりたくさんセックスを楽しみ続けることができるわけだ。だから私たちに休息を与えているのではないかと。あの人、飽くことがないから。

だけど、それもこれも私たち、ディアドラと私が原因といえる。彼は私たちを魅力的すぎてどうしても抑えきれないと感じている。そう説明する彼のことを私も信じるようになっていた。私たちは本当に魅力的で抑えきれないのだ。少なくとも彼にとっては、私たちはそう見えている。他の男がどう思うかなど、私もディ・ディも関心がない。

私もディ・ディも身体を元の状態に戻すのに数カ月かかった。体重はふたりとも50キロに戻った。これは、ぴったり妊娠する前の体重。ふたりともお腹に妊娠線ができたが、アンドリューはむしろ妊娠線があった方が好きと言っている。経験を積んだ身体に見えるのがかえってそそられると。

それにしても妊娠線すら、私とディ・ディがほとんど同一だなんて。不思議すぎる。ふたり並ぶとふたりの線が一直線につながって見えるなんて。

アンドリューと私のふたりで寝室に入った。ふたりだけになると、アンドリューは愛の詩人のようになる。私への愛を雄弁に語り続ける。その言葉で、私はまるで王女様になったような気分になる。この人は本当に私たちのことを思ってくれている。私はこれまでずっと、まるで愛の繭の中で生活してるように感じている。

二人ともゆっくり服を脱いでいく。彼の胸板は美しい。ほとんど胸毛はないけど、しっかりした筋肉質の胸板。とても強い男の人だけど、私たちや子供たちと一緒にいる時は、とても優しい人。

彼が消耗しているところを見たことがあるし、欲求不満になっているところも見たことがある。でも、怒ったところは一度も見たことがない。私たちと一緒の時は決して腹を立てることがないのだ。ディアドラと私はもうちょっと移り気な性格。時々、大きな声で怒鳴ったりしてしまう。普通は彼の食生活に対して。だがアンドリューは決して怒鳴ったりしない。

二人とも裸になった。アンドリューは力強い腕で私を抱き上げ、ベッドに運んでくれた。彼の腕に包まれると私はまるで子供になったような気持ちになる。愛され、守られている気持ち。それに、エッチな気持ちにも。子供がエッチな気持ちになる? それはないわね。

彼は私を抱いたままベッドわきに立っている。片手はすでに私の身体を探り始めている。お尻を触り、両膝の裏側を進み、太ももをさすってくる。彼に触れられた部分は、すべて火がついたように熱くなっていく。

彼は私をベッドに降ろし、私の横に這ってくる。アンドリューには手が3つ以上あるに違いない。というのも、あらゆる場所に彼の手が来てるから。私の身体は勝手に反りかえり、彼に押し付けている。彼の身体と接している部分を増やそうとしてるから。アンドリューの肌は柔らかく、滑らかで素敵。

彼の両手が私の胸をいじっている。私の胸は、今はみすぼらしいAカップに戻ってしまっている。だが、彼は気にしていないようだ。私たちの胸を愛してくれている。

乳首をつままれ、それから口に含んでもらうのが大好き。それを受けて身体がアーチのように反りかえる。無意識の反応でそうなってしまう。今や、私がするほとんどの反応は無意識の反応になっている。アンドリューは私の身体を完全に支配していて、彼が望むどんな場所にでも私を連れて行ってくれる。

あそこが濡れている。求めている。必要としている。もう、我慢できなくなっている。彼の固いペニスを私の中に入れてほしい。

ゆっくりと滑り込んできた。とても大きい。中をいっぱいにされる感じ。身体を揺らすようにして私に出入りを繰り返す。どういうわけか、彼にはそうしながら私のクリトリスを擦る方法が分かるらしい。

ゆったりとした心のこもったリズムで始まるけれど、気持ちが高まるにつれて、二人の動きが速くなる。今はあの大きなものが私の中に激しく当たってくるのを感じる。アンドリューは片手で私のあごをつかみ、私の唇を彼の唇に引き寄せた。ふたりはキスをしている。彼の舌が私の舌ともつれあっている。

彼の制御力は私には信じがたい。私はまったく制御力がない。私は彼になされるがまま。アンドリューに愛され、私はただ狂わされる。こんなにも速く頂点に登りつめてしまってる。ああ、とっても愛しているわ、アンドリュー。私は大きな声を上げている。ものすごいクライマックス。失神しそうになっている。

彼が私の身体の奥深くに放ったのを感じた。それが引き金となって、またもクライマックスに達してしまう。もう、これ以上ムリ。私はベッドの上、身体を崩した。ぐったりと、でも、満足しきって。彼は私をこんなに喜ばせてくれる。

アンドリューは私の鼻先にキスをし、それからまぶた、両頬、そして最後に唇にキスをした。

「ありがとう。…試合の後は何をしてる?」

私は唸り声を上げた。

「子供たちの世話をしてるわ。試合の後の時間についてはディ・ディに訊いてみたら」

女一人ではこんなにたくさんは無理。


つづく
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