お湯に入る
泡が、恋人の手のように体を愛撫する
目を閉じ、リラックスする
温かいお湯が気持ちいい
無重力のような感覚が気持ちいい
ふと、水着が邪魔な感じになる
いっそ裸になってしまいたい
せっかく露天のジャクージに入って、リラックスしてるのだから
水着を脱ぎ、制約から解放されたい
辺りを見回す
自分のほかに誰もいないことを確かめる
そして、水着を脱ぐ
お湯がじかに体全体を包み込む
誰も私が水着を脱いでしまっているとは分からない
加えて、今は夜も更けている
プールのあたりにも誰もいない
再び、目を閉じ、リラックスする
お湯の噴流が、背中から腰にかけて当たっている
少し体を上げた
噴流がお尻に当たる
ほとんど反射的に、両手であそこを触った
露わになってる女性の部分
水流に身を任すように、体が漂っている
ジェットの噴流がお尻に当たっている
指はクリトリスをこすっている
片手をあげて、乳首を優しくつねった
次にもう一方の乳首も
いきそうになる
いく直前の、ぎりぎりのところまで来ている
「こんばんは」
低音の男の声
ハッとして現実に戻る
顔を上げた
男がジャクージのすぐ脇にしゃがんで自分を見ている
顔が赤らむのを感じる
男は、一心にじっと自分を見つめていた
まるで男の目は、私の女としての核の部分を見通しているよう
「僕も入ることにする」
男は言った
疑問文ではない
命令文でもない
ただの言明
言い争いを挑むような調子もない
ただ、しっかりと言明された平叙文
男は、わざとゆっくり、水着を脱いでいった
その視線は、じっと私の顔に向けられ、決して離れることがなかった
男から目を背けることができない自分に気がつく
この人は強い人だ
身体的にも性格的にも
男に引き寄せられるのを感じる
まるで男の体から発せられる力を、全身で浴びているような感覚
男がお湯の中に滑り込む
何分か、二人とも黙ったままお湯に浸って座っていた
私の思考が揺れていく
昔のことを思い出す
前のご主人様のこと
別れてしまったご主人様のこと
別れたのは、問題があったからでも、厄介なことが起きたからでもなかった
ただ私が引っ越してしまったから
私は遠く離れた場所での仕事を引き受けることに決めたのだった
・・・二人の関係を続けるには遠すぎる場所
彼が恋しい
「両手を頭の後ろに!」
突然、男が命令した
私は本能的に命令に従った
自分が無意識に命令に従ったことに気づき、顔が真っ赤になる
男が静かな口調で言った
「思っていた通りだ
彼のことを思ってるんだね?
寂しく感じているんだね?」
知らぬ間に、涙が溢れてきた
どうしてこの男は私のことをこんなに知っているの?
私は、前のご主人様のことを思い、寂しさを感じている
今は、この新しい土地で、孤独に、不安を感じながら暮らしている
黙ったまま、男を見つめた
頬に涙が流れるのを感じる
男は両腕を広げた
何かを提供するようなジェスチャー
ただの慰め以上のものを提供しようとしている
慰め以上のものを与えようとしている
ずっとずっとそれ以上の何かを