女は、話し続ける男をじっと見つめていた
温かい声
豊かな声
関心事と趣味を語り続けている
でも女は男の言葉をほとんど聞いてはいない
うっとりとして男の顔を見つめていたから
男が話す間、女は気持ちが集中していく
男の体の熱い体温がテーブルを隔てて自分に伝わってくるのを感じている
この人に触れられたい
そう願う気持ちが高まっている
男は話し続けていた
声のもたらす振動がテーブルを伝わって感じられる程
二人はさらに頭を近づけあうように体を寄せていく
突然、男は話しを止めた
女の手を取り、優しくさすった
女は微笑んだ
二人の周りの世界が突然消える
二人だけしかいなくなる