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彼女はおどおどしていた。

眼鏡の中の瞳が、神経質そうに喫茶店の中を見渡す。

彼はまだ来てない。

ほっと安堵のため息をもらす。

そして、持ってきた本に顔を埋めるようにして、読み始める。


 
 

じきに彼女は本の物語に没頭する。

そして彼が喫茶店のドアを入ってきたことに気づかない。

男は、すぐに彼女を見つけた。

これまでメールで何度も語り合っていた。

だから彼女の心を理解していた。

そして、そのような心の持ち主なら、どのような容姿の人になるか。

それも、想像がついていた。

加えて、彼女は黒の服を着てくるとも言っていた。

服装は地味だった。

だが、セクシーな空気が彼女を取り巻いているのも事実だ。

それも男が予想していた通りだった。

*****

男はベッドに縛り付けられていた。

両手両足をベッドの四隅に頑丈な茶色の皮紐でくくりつけられている。

女は自分の手さばきの良さに満足しながら、すっくと立ち上がった。

そして邪悪そうな笑みを男に見せて見下ろす。

まるで、カナリアをいたぶり殺した猫のような顔だ。

男は女をじっと見ていた。

男の眼には明らかに愉悦が満ちている。

女は照明を落とし、ベッドに近づく。

焦らすように、両手を男の胸に当てる。

男の体の筋肉が、期待に引きつる感触を楽しむ。

それから、両足へ手を移す。

両手の指の爪で、男の太股に線を描く。

男は、体を震わせて、大きく溜め息をついた・・・


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