彼女にとっては、初めてのこと。
まったくの初体験。
彼女はあの人たちのことを知らない。
あの人たちも彼女のことを知らない。
地元の交際紙に載った投稿が、知り合うきっかけ。
「当方、新しい経験を希望するカップル。
もう一人、女性を加えて、3人で楽しいプレーを希望」
彼女は、それに返事した。
手紙を書いた。
先週は電話もした。
そして、いま。
そのカップルがここにいる。
ホテルの一室。
ぎこちなさを感じてる。
夜の食事の時、ワインを二杯飲んだ。
けど、それは、ちょっと緊張をやわらげる程度にしかなっていない。
彼女は、ホテルの部屋の中を見ていた。
あのカップルの気持ちが、自分の中に注ぎ込まれてくるのを感じる。
あの人たちは、ドキドキしている。
恐れてもいる。
後ろめたい恥ずかしさも感じている。
心の暖かさも感じている。
注ぎ込まれる感情には、彼女自身、名付けることすらできないものもある。
彼女は思った。
ここから引き返すのは、やめにしよう。
だって、とても強い欲求が沸いてくるから。
目の前のカップル。
そう、この二人の女性と経験してみたい。
そう思うから。
何が起きようと、今夜は忘れられない夜になりそう。