男は、ドア先に立っていた。
暗い部屋。
中に入るつもりはなかった。
だが、侵入してしまった今、その中に見たものから目が離せない。
女がひとりベッドにいた。
閉じた両目。
両手の指を自分の体にゆっくりと這わせている。
指は乳房にたどり着く。
乳首をつまみ立てる。
自分で自分の乳首をいたぶるように。
両手のひらが、お椀のようになり、乳房をおさえる。
ゆっくりと円を描いて豊かな肉塊を揉みしだく。
時々、動きを止めて、乳首をつねる。
片方の手が次第しだいに体を降りていく。
股間の唇に当てられる。
二本の指が、唇を左右に開く。
目は閉じたまま。
息づかいが激しさを増す。
男は息をのんだ。
自分がこの場にいること。
それが知られたら、この魔術のような光景が終わってしまうかも知れない。
それを恐れていた。
今は両手とも、下腹部を触っている。
片手の指は唇を開く。
もう片手の指は、内部にストロークを与えている。
女の唇から、小さな喘ぎ声が漏れた。
その後、すぐに、別の喘ぎ声。
声は連続して漏れ出てくる。
そして確実に、快楽の坂道を上り詰めていく。
男は魅せられたように、女を見つめていた。
自分は何か魔術的なものを見ている。
これを見ることができるのは、誇るべきことなのだ。
そういった感情に捕らわれていた。
男は、これまで、女のセルフ・ラブを見たことがなかった。
美しいと感じた。
虜になりそうだ。
女は落ち着きを見せ始めた。
そして、静かに目を開く。
ドア先に立つ男を見る。
驚きに息をのむ。
だが、やがて、微笑みが顔に浮かぶ。
男は部屋の中に入り、後ろ手にドアを閉めた。